トラブル解決術

  • ジャパンダのデータ研究所

建物で火災にあった時の対処方法とは?

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先日、買い物中に非常ベルがなりました。その時は火災報知器の誤作動でしたが、もし、デパートやビルなどの建物内で火災にあった時はどのように対処すればいいのでしょうか。

できるだけ素早く、煙を吸わないように姿勢を低くして避難する。

商業施設、職場、学校など、建物内で発生した火災から避難する場合は、火の周りよりも煙が充満する方がずっと早いため、炎そのものよりも煙に注意をして速やかに移動をする必要があります。避難時のポイントをおさらいしておきましょう。


■早く避難する

火災の避難で最も重要なことは早く避難することです。火元から離れていても煙が充満してきますので、荷物をまとめている暇はありません。目の前にある物だけを持ってすぐに避難を開始してください。なお煙は燃えている階よりも上に上昇して行きますので、火災の際は下に向かって逃げることが大原則です。


火災の初期は煙の色が白で、徐々に黄色くなり、最後には真っ黒の煙になります。こうなると視界が遮られますます避難が困難ですので、煙の色が白いうちに急いで屋外に脱出することが重要です。また避難の際にエレベーターを使うことは厳禁です。火災時にはいつ停止するかわからないため、万が一閉じ込められてしまうともう逃げることができなくなるからです。


■煙を吸わない

避難時には煙を吸わないようすることが最も重要です。燃えている物によって煙の成分が変わりますが、どのような火災でも発生する一酸化炭素は吸い込むとすぐに意識を失ってしまったり、体が動かなくなって避難ができなくなったり、また濃度が濃い場合は数分で死亡することもあるため、とにかく煙を吸わないようにすることが重要です。


また走って移動をすると呼吸量が増えて煙を吸い込みやすくなるため、慌てずに歩いて移動します。このときタオルやハンカチがあれば、口と鼻に当てることで吸い込む煙を減らすことができます。この際、水に濡らすことを推奨することが多くありますが、必ずしも煙を吸い込みにくくなるわけではなく、逆に目詰まりして呼吸ができなくなる場合もあるため、目の前に蛇口がある場合でなければ無理に濡らす必要はありません。それよりは早く避難を始めることを優先してください。


火災時は煙で視界が奪われて居場所が分かりづらくなるため、壁沿いに移動します。室内で煙は高い所から充満していくため、姿勢を低くして移動すると巻かれにくくなります。煙に巻かれて息苦しくなったら、床を這うようにするとまだ空気が残っていることがあります。同様に床と壁のL字の部分や、階段のL字の部分は空気が残りやすいため、こうした場所で息継ぎをしながら移動します。


視界を奪われた場合は、煙が流れていく方向(屋外側)に向かって壁沿いに移動し、さらに誘導灯を見つけて明かりの方向へ移動するようにします。また後続の避難者がいなければ、建物内部の扉を閉めながら移動した方が、延焼や煙の充満を遅らせることができるため有効です。なおまだ避難者がいる可能性があるため、ドアを締めてもカギはかけないようにしましょう。


備え・防災アドバイザー 高荷智也

筆者の写真

身近な危機に対応できる、暮らしの備え・防災をお伝えします。

「備え・防災は日本のライフスタイル。」世界有数の災害大国日本において、私たちの身近に潜むリスクに対処するためには、生活の中に備え・防災を取り込む必要があります。個人と家庭の視点で、暮らしの備えをご案内します。

【URL】 http://sonaeru.jp/
【経歴】 2007年に本業のかたわらで始めた防災ブログが反響を呼び、2011年より防災をテーマとしたセミナー・執筆・メディア出演を開始。2015年に、屋号をソナエルワークスと定め、以来インターネットメディアや講演会などを中心に活躍中。1982年、静岡県生まれ。
【メディア】 テレビ、新聞、雑誌など出演多数、生活者視点の分かりやすい防災アドバイスに定評がある。著書に「中小企業のためのBCP策定パーフェクトガイド(2015年)」、他。

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