トラブル解決術

  • ジャパンダのデータ研究所

登山中に迷子になってしまった時の対処方法とは?

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今度、10人ほどの団体で登山に行く予定をたてています。私のみ初心者で、山歩きに慣れていないため、はぐれてしまわないかとても心配です。もし登山中に迷子になってしまった場合は、どのように対応するのが最適なのでしょうか?

パーティーは原則として分けない

10人のグループ登山で、1人がはぐれる…考えられるのは、一人がバテてしまって、皆を待たせて申し訳ないという気持ちから、「先に行っててください、後からゆっくりいきますから」と申し出て、他の人たちは「そう?じゃあ山頂で待ってるから気をつけてね」などというケース。


でもちょっと待ってください。

これではただの烏合の衆で、パーティーとしての体をなしていません。なぜ複数で山に行くのか…もちろん楽しいからというのもありますけど、お互い困ったときは助け合い、複数いることでリスクを減らそうということもあると思います。単独では、足をくじいただけで行動不能になってしまいますから。


疲れて遅れる人は、さらに疲労が激しくなって動けなくなる、疲労が原因でつまずいてケガをするなど、リスクがより高くなっている人です。そんな人を一人にしないで、そういうときこそ皆が助け合って、一緒にゆっくり歩きながら荷物を持ってあげたり、飲み物や食べ物を与えたり、笑いで気持ちを軽くしてあげたりして、パーティーとして行動しましょう。もしそれで時間切れになって山頂まで行けなくても、パーティーとして下山しましょう。そんなときです、山で最高のものが得られるのは。山で得られるのは、「私は頂上に登った!」という達成感だけではないはずです。


もう一つ考えられるのは、脇の林の中へ一人でお手洗いに行き、はぐれてしまうケース。学校登山などで、黙って脇の林で用を済ませ、道に戻ったら最後尾は通過した後。追いかけても違う道に行ってしまい…というケースが複数あります。そんなときは、必ず他の人に声をかけてから離れてください。他の人は、ちょっとだけ進んだ先で待っているのがスマートかも。特にお子さまの場合は、事前にこのきまりを言い聞かせておくことが大切です。


ちなみに道から外れた林の中は、地バチの巣などで必ずしも安全とは限りませんので、注意が必要です。私たちはガイドですから、身を隠せる場所の安全まで確認し、そこにすぐにシェルターを張ってから、急いでその場を離れます。


最後にもう一つ考えられるのが、最近の高尾山のように登山者が大勢いて、休憩や売店をのぞいたりして、はぐれてしまうケース。高尾山には年間260万人が訪れるそうですから、あり得そうです。ただこの場合は人が大勢いるので、はぐれても事故にはなりにくそうですね。こういう所は携帯電話も通じやすいですし。お昼の休憩など、万一の集合場所だけは決めておきましょう。


ネイチャーガイド 橋谷晃

筆者の写真

正しい知識とルールで、大自然を満喫しましょう!

自然を楽しむトレッキングなどを開催するスクールの代表として、初心者の皆さんと 年間100日ほど、山の自然を楽しんでいます。安全で楽しい自然との付き合い方を学 んで、大自然をエンジョイしましょう。

【URL】 ネイチュアリング・スクール「木風舎」http://www.mokufusha.com/
【メディア】 NHK教育テレビ「チャレンジ!ホビーあなたもこれから山ガール」に講師 役としてレギュラー出演したのをはじめ、テレビ東京、J-WAVEなどテレビ・ラジオ 番組に出演多数。
【著書】 『チャレンジ!ホビーあなたもこれから山ガール』(NHK出版)、『トレッキ ングのABC』『失敗しない山道具選び』(山と渓谷社)、『ネイチャースキーに行こう』 (スキージャーナル)、など多数。

※上記に関するご質問、お問合せは、原則受付けておりませんのであらかじめご了承ください。