トラブル解決術

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大雨による浸水被害の対処方法、避難方法とは?

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先日、大雨で小さな川が氾濫し、近くの民家で床上浸水の被害が出たというニュースを見ました。私の家の近くにも川があるため、同じようなことが起きないか心配です。大雨の浸水被害の対処方法や、避難方法について教えてください。

浸水後の徒歩移動は困難、浸水がはじまる前に早期避難をしましょう。

大雨が降ると、家屋の浸水のニュースが流れてきて心配ですよね。実際どの程度の雨でどう避難したらよいのかなど、よくわからない方も多いかと思います。今回は、大雨の注意点と事前にできる対策、もしもの際の避難方法をご紹介します。


大雨で浸水害が発生する状況について


大雨で生じる浸水害には2つの種類があります。


●堤防の決壊などで生じる河川洪水、「外水氾濫」
台風や集中豪雨による大雨が長時間降り続き、堤防の上から水が溢れたり堤防が決壊したりすると、河川洪水による大規模な浸水害が生じます。これを「外水氾濫」といいます。気象庁から発表される「大雨警報」「大雨特別警報」をはじめ、「記録的短時間大雨情報」などが発表された場合は特に警戒が必要です。


●大雨の排水が間にあわず市街地に水が溢れる、「内水氾濫」
河川洪水と同じような大雨、あるいはいわゆるゲリラ豪雨による猛烈な雨が局地的に降った場合、都市部の排水が間にあわなくなると市街地が水没してしまいます。これを「内水氾濫」といいます。この内水氾濫が、ここ近年増加しています。短時間で急激に浸水害が生じるため、地下にいる場合などは注意が必要です。


浸水害に備えた事前の対策


逃げるにしても留まるにしても、準備しておくことは多数あります。


・洪水ハザードマップで避難場所とルートを確認
・非常持出袋と、避難所生活セットを準備


自宅に災害弱者(乳幼児、妊婦、障害者、高齢者、要介護者、ペットなど)がいる場合、浸水害から命を守るためには早期避難が必須です。避難場所および移動ルートの確認と、非常持出袋の準備をしておきます。


・断水、下水道の逆流に備える
・停電に備える


浸水で下水道が水没すると、周囲の住宅ではトイレ、風呂、洗濯機、台所などの水が使えなくなります。またコンセントが水に浸かると漏電ブレーカーが落ちて電気が使えなくなるため、非常用トイレやカセットコンロの準備が必要です。


・自宅の開口部(門扉、玄関、床下換気口)をふさぐ
・自動車やバイクを高台へ避難させておく
・屋外にいるペットを屋内に入れ、避難の準備をする


自宅がぐるりと塀に囲まれていれば、開口部に土のうや止水板(浸水・漏水を防ぐためにコンクリートの継ぎ目に埋め込む板)を設置することで水の浸入を防ぐことができます。


また床下換気口を板などでふさいだり、玄関やガレージなどに土のうや板を設置したりすることで、浸水を防ぐことができます。一方、自動車やバイクはあらかじめ高台へ移動させ、ペットも忘れずに室内に入れるようにします。


浸水時の対処方法とは


もし浸水の可能性が出てきたらすべきこととは?


●トイレ、風呂場、台所、洗面所などの排水溝にフタをする
浸水前に下水道の逆流がはじまることがあります。排水溝を閉じる専用器具がなければ、ゴミ袋に水を入れて「水のう」を作り、トイレの便器、風呂場の排水トラップ、台所のシンク、洗濯機の排水溝の上に設置することで、ある程度の水の逆流を防ぐことができます。


●家具や家電、荷物などの家財を2階などへ移動させる
床上浸水が避けられず、避難も間にあわない場合は、家財道具を自宅の2階などへ運びます。


避難時の注意とポイントとは


水深をチェックし、避難しなければならなくなったら着用するものに注意しましょう。


●浸水がはじまっている場合は、屋外ではなく自宅の2階などへ移動
水深が大人のひざ丈を超えている場合、徒歩による避難は困難です。なお成人男性でも水深50センチ、小学校5、6年生で20センチ以上になると歩行避難が困難になるというデータがあります。


また浸水時は下水道が溢れて周囲の水が汚染され、感染症に罹患するリスクが高まるほか、身体を濡らすと低体温症のリスクも高まるため、できるだけ濡れないことが重要です。上記のように水深がある場合、無理に避難場所へ移動せず自宅の2階などへ「垂直避難」を行うのがよいでしょう。


●水中を移動する場合は、両手を空け、足もとに注意しながら移動する
浸水時は周囲からさまざまなものが流れてきたり、マンホールや側溝のフタが外れたりすることがあるため、底が頑丈な、ひもで締められる靴を履き(長靴は泥や水が入ると歩きにくくなるためNG)、長い棒などを杖代わりにして足もとを確かめながら移動しましょう。


またバランスを取るため両手を空けることが望ましいので、できればリュックを利用し、雨具も傘ではなく、(アウトドア用)レインウェアにすることをおすすめします。さらに身体が濡れることに備えて、タオルや着替えも必ずリュックに入れてください。


自然災害はいつ自分に降りかかるかわかりません。気候や地形に関わらず、浸水時の正しい対処方法を身につけておきましょう。


備え・防災アドバイザー 高荷智也

筆者の写真

身近な危機に対応できる、暮らしの備え・防災をお伝えします。

「備え・防災は日本のライフスタイル。」世界有数の災害大国日本において、私たちの身近に潜むリスクに対処するためには、生活の中に備え・防災を取り込む必要があります。個人と家庭の視点で、暮らしの備えをご案内します。

【URL】 http://sonaeru.jp/
【経歴】 2007年に本業のかたわらで始めた防災ブログが反響を呼び、2011年より防災をテーマとしたセミナー・執筆・メディア出演を開始。2015年に、屋号をソナエルワークスと定め、以来インターネットメディアや講演会などを中心に活躍中。1982年、静岡県生まれ。
【メディア】 テレビ、新聞、雑誌など出演多数、生活者視点の分かりやすい防災アドバイスに定評がある。著書に「中小企業のためのBCP策定パーフェクトガイド(2015年)」、他。

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