トラブル解決術

  • ジャパンダのデータ研究所

強風などの風災被害に遭った際の対処方法、避難方法とは?

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先日、とても強い風が吹いた日があり、家が壊れるのではないかと怖い思いをしました。このときは運よく、自宅の被害などはなかったのですが、もし自宅で風災被害に遭った場合にはどのように対処すればよいのでしょうか?強風警報が発表されたときの避難方法についても教えてください。

最大規模の強風は大地震に匹敵する被害。早めにコンクリート製の建物へ避難をしましょう。

被害を生じさせるほどの強風は、多くの場合は台風や低気圧による大雨を伴って吹き荒れます。このような強風への対策をするには、大雨による浸水対策や、土砂災害対策をあわせて行わなければなりません。気象情報や避難情報に注意をし、強風だけでなく雨量や地盤の状況にも注意をしましょう。


強風に関する情報と、被害の目安 (気象庁基準)


テレビやネットのニュースで、注意報・警報はさまざまな表現で発表されます。正しい風災対策をするためにも、まずはどれくらいの強風かを把握することが大切です。以下、気象庁発表の風に関する各注意報・警報の概要をご紹介します。それぞれの表現と風の強さを参考にしてください。


●「やや強い風」 平均風速「10m/s~15m/s未満」…時速50キロまで
「強風注意報」が発表される程度の風速です。傘をさすのが難しくなってきたり、自動車が横風を感じるようになったりします。


●「強い風」 平均風速「15m/s~20m/s未満」…時速70キロまで
台風の強さの風速です。「平均風速の最大値が17m/s以上」の低気圧を「台風」と定義しますので、「強い風」という報道は台風クラスということになります。風上へ歩くのが困難になり、子どもや高齢者は転倒し、固定の甘い屋根材が剥がされはじめます。


●「非常に強い風」 平均風速「20m/s~30m/s未満」…時速110キロまで
「暴風警報」が発表されるくらいの風速です。何かに捕まっていないと転倒する恐れがあるほどで、建物などに被害が出はじめたり、鉄道などが徐行運転・運転中止をはじめたりします。


●「猛烈な風」 平均風速「30m/s以上」…時速110キロ以上
「風速30m/s」では、何かに補まっていないと立っていることができず、細い木が倒れはじめたり、カーポートの屋根が変形をはじめたりします。


「風速40m/s」は「暴風特別警報」が発表されるほどの強風です。走行中のトラックが横転したり、道路標識が傾いたり、住宅の屋根が本格的に崩壊をはじめる強さの風です。屋外での行動は命の危険を伴うため、コンクリートや鉄骨造りの安全な建物への避難が必要です。


「風速50m/s」は、樹木が根こそぎ倒され、電柱や自動販売機が転倒し、古い木造住宅が倒壊しはじめる風速です。大地震に匹敵するくらいの被害が生じますので、このレベルの台風が接近している場合は、強風の前に避難を完了させなければなりません。


強風によってもたらされる被害と、事前対策


風の強さとその大まかな区分けがわかったところで、強風、暴風による被害と対策についてご紹介します。


●人的被害と対策
・外出をしなくてよい準備をする
・すぐに復旧作業をはじめない


屋外で飛来物に衝突して大けがをしたり、屋根などの修理を行っている際に突風にあおられて転落する死傷事故のケースがあるため、暴風警報などが解除されるまで、できるだけ屋外に出ないことが望ましいと言えます。

また台風の通過後に「吹き返し」で強風が吹くことがあるので、「暴風警報」などが解除されるまで屋根に上がっての作業などは控えるようにしましょう。


●ものや住宅に対する被害と対策
・屋外に置いてあるものは、すべて室内にしまうか固定
・ガラス窓には飛散防止フィルムを貼る
・就寝のときは雨戸やカーテンを閉める


屋外にあるものはすべて室内へしまいます。窓ガラスにも飛散防止フィルムを貼り(地震対策にもなります)、雨戸やシャッターがあれば閉じ、さらにカーテンやブラインドを閉めて強風をやり過ごすようにしましょう。すべての窓にフィルムを貼る余裕がなければ、寝室などから優先的に行ってください。


●インフラ(電気・水道・流通)に対する被害と対策
・LEDライトやカセットガスコンロを準備
・停電による断水に備えて非常用トイレなどを準備
・鉄道やバスの運行も停止するので、予定を早めに済ませる


強風による倒木や飛来物が電線を切断したり、電線がショートしたりして停電することがあります。停電によって給水ができなくなるエリアの場合は、断水も生じます。諸々のパターンを想定し、LEDライトやラジオの準備をはじめ、夏場の場合はあらかじめ冷凍庫に凍らせたペットボトルを大量に作っておくなどの対応が必要です。また、流通網や鉄道・バスなども停止するため、人的被害を防ぐためにも事前に外出をしないための準備をしておきましょう。


もし、事前の準備が間にあわず、強風により窓ガラスが割れた場合は、靴下にスリッパをはいたり、軍手をするなどして肌の露出を減らして、ケガをしないようにしましょう。子どもやペットが不用意に近づかないように、別の部屋に避難することも大切です。その後は、ガラス修理、交換会社に依頼をすることになるかと思いますが、風災被害のあとは、なかなかすぐに駆けつけてもらえない可能性があります。その場合は、段ボールとガムテープを使って、割れた箇所を防ぐなどして応急処置をとるようにしましょう。


強風や暴風の被害は、事前に天気予報を把握しておくことで、被害を最小限にするための準備をすることができます。災害に関する情報を敏感にキャッチできるよう、日ごろから意識しておくようにしましょう。


備え・防災アドバイザー 高荷智也

筆者の写真

身近な危機に対応できる、暮らしの備え・防災をお伝えします。

「備え・防災は日本のライフスタイル。」世界有数の災害大国日本において、私たちの身近に潜むリスクに対処するためには、生活の中に備え・防災を取り込む必要があります。個人と家庭の視点で、暮らしの備えをご案内します。

【URL】 http://sonaeru.jp/
【経歴】 2007年に本業のかたわらで始めた防災ブログが反響を呼び、2011年より防災をテーマとしたセミナー・執筆・メディア出演を開始。2015年に、屋号をソナエルワークスと定め、以来インターネットメディアや講演会などを中心に活躍中。1982年、静岡県生まれ。
【メディア】 テレビ、新聞、雑誌など出演多数、生活者視点の分かりやすい防災アドバイスに定評がある。著書に「中小企業のためのBCP策定パーフェクトガイド(2015年)」、他。

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