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健康診断結果の貧血の数値の見方は?

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健康診断結果で、血液検査の項目に色々な数値が書かれています。私は時々立ちくらみなどをするので貧血気味なのかと思うのですが、どのように数値を見ればよいのでしょうか。

ふらつくのをがまんしていればいいわけではない貧血のポイント

健康診断では必ず採血をしますが、そのほとんどで貧血のチェックを行っています。貧血そのものはよく見られる疾患ですが、中には気になる病気の初期症状である可能性もあります。今回は貧血についてのポイントを見ていきましょう。


■貧血とは?

まず、貧血とは何でしょうか。一般的には、立ち上がるとフーッと目の前が黒くなったり白くなったりしてふらつくような状況を「脳貧血」と表現することがありますが、医学的には血液の中に占める赤血球の割合が低い状態を貧血と表現します。


■血圧の数値の見方とは?

健康診断では、主に一定量の血液に含まれる赤血球数(RBC)、ヘモグロビン濃度(Hb)、そして赤血球の容積を表すヘマトクリット(Ht)という3つの数値で見ていきます。

これらの正常な数値は、男女で少し差があります。

赤血球は、男性で410-530万/μl、女性で380-480万/μl

ヘモグロビンは、男性で13.5-17.0g/dl、女性で11.5-15.0g/dl

ヘマトクリットは、男性で37-48%、女性で32-42%

となっています。この数値を見てもおわかりのように、かなりの幅、個人差がありますので、あまり気にしすぎることはありません。ただし、この正常下限の数値を下回っている場合や、数年の間に少しずつ貧血傾向が強まっている場合などには、やはり内科の医師の診察と詳しい検査を受けた方が良いでしょう。


■大きな病気の初期症状?

というのも、貧血は大きな病気の初期症状であることが少なくないからです。血が薄くなってしまう原因には、

①どこかから血が出ている状態

②血が造れない状態

③血が壊れている状態

という3つの状態が考えられ、それらは大きな病気につながっていることもあるのです。


①血が出ている状態:胃がんや大腸がんでは、胃や腸管の粘膜にできたがん細胞から、だらだらと血が出てしまっていることがあります。また、女性では子宮癌や子宮筋腫などによって月経血が多い時期が続くと、急に血圧が変動するほどの出血ではなくとも、ずっと少しずつ出血する部位があることで貧血が見られることがあります。


②血が造れない状態:赤血球は、腎臓という臓器から出るホルモンの刺激と、食べたものの中から吸収した鉄分をもとに骨髄という臓器で造られます。アンバランスな食事で鉄分が少ない時や、再生不良性貧血などの状態では骨髄で赤血球が造れないため、貧血が症状として現れます。


③血が壊れてしまう状態:赤血球は、脾臓という臓器で壊されます。鉄分などは新しく赤血球を造る際に再利用されますが、脾臓での破壊が進んでいる場合や、自己免疫的な機序で赤血球が破壊されるときには貧血が見られます。


もちろん、多くの貧血は食事に問題があったり、痔出血があったりと命には別状がないものがほとんどです。貧血が進んでくると、息切れ、ふらつき、耳鳴りなどの症状が見られますが、初期のころはほとんど症状はありません。何事も早期発見・早期治療が大切ですので、検診結果の数値を見て貧血が指摘されていれば、あまり心配しすぎずに、一度内科の診察を受けられることをおすすめします。


医師・医学博士 狭間 研至

筆者の写真

健康的な生活を維持するために大切なことをお伝えします。

外科医として医療の現場で診療を行うとともに薬局運営も行う中で、病気予防の必要性を痛感しています。健康維持のために、日頃からできることや健康診断・検診の必要性をお伝えしていきます。

【URL】 http://www.pharmedico.com/index.html
【資格】 医師・医学博士
【執筆】 「薬局マネジメント3.0」(評言社)、「薬局が変われば地域医療が変わる」(じほう)、「薬剤師のためのバイタルサイン」(南山堂)、「薬局3.0」(薬事日報社)、「外科医 薬局に帰る」(薬局新聞社)、「がんにならないのは、どっち」(リンダパブリッシャーズ) など多数

※上記に関するご質問、お問合せは、原則受付けておりませんのであらかじめご了承ください。