トラブル解決術

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自転車事故に遭ったときの対処方法とは?

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先日、歩道を歩いていたら、横から急に自転車が現れぶつかりそうになりました。運良く衝突は免れたのですが、もし事故になった場合はどのように対処すればよかったのでしょうか。また、私自身も自転車に乗るため、自分が自転車事故の加害者になってしまったときの対処方法も教えてください。

被害者になっても加害者になっても、必ず110番通報を。

突然の自転車事故!まず取るべき行動とは?


今回は自転車で事故に遭った場合と起こした場合、それぞれの対処方法について知っておきましょう。


自転車事故の被害者になったとき
まず被害者となった場合から見ていきます。あなた自身が事故に遭って意識があれば、第一にすべきことは110番に通報することです。


最初に警察官を呼んで、事故調書を作成してもらう必要があります。自転車事故で警察官を呼んでいいのかと心配する方がいますが保険に加入している場合は、逆に事故調書がないと保険はおりませんし、あとから痛みが出る可能性もありますので、必ず警察官を呼びましょう。


そのとき、相手の連絡先と、運転免許証番号を控えておきましょう。名刺ももらっておくと安心です。


自転車事故の加害者になったとき
次に加害者となってしまった場合です。その場合、第一にすべきことは人命救助です。道路上で倒れたままだと車にひかれてしまう危険性があるので、安全な場所へ移動させます。相手に意識があれば、大丈夫かどうか声をかけて、救急車を呼ぶ必要があるか判断します。


万が一心臓の拍動が止まっていた場合、AEDがあればAEDを使いましょう。可能であれば周りにいる人たちに協力してもらって手配してください。息をしていなければ人工呼吸をします。30回の胸骨圧迫のあとに2回、鼻を閉じて息を送り込みます。救急車が来るまで心肺蘇生を行い、少しでも生存の可能性を上げた状態で引き継いでください。救急隊員が着いたら自分の携帯番号を伝えておき、どこの病院に収容されたかを連絡してもらいましょう。


次に110番へ連絡して事故調書を作成してもらいます。被害者になっても加害者になっても、必ず110番通報する必要があるということを認識しておきましょう。


自転車事故の加害者が問われる責任とは?


自転車事故で加害者になったときに問われる責任は1つではありません。民事上では民法第709条「不法行為責任」により治療費や休業補償、遺族補償、慰謝料などの損害賠償を負うことになります。また、事故原因が自転車側の信号無視や前方不注意、ひき逃げなど悪質な場合は重過失致死傷罪という刑事罰を受ける可能性が高くなります。


刑事罰を受けると医師や看護師、調理師といった国家資格の取得ができなくなるばかりか、仕事を辞めざるを得なくなることもあります。また最近では自転車の事故を起こした人に運転免許証を停止する行政罰を与えるケースも増えてきました。自転車で危険行為をする人は車の運転でも危険行為をするに違いない、という考え方です。


なお民事、刑事、行政の3つの責任に加えて道義的責任があります。それは相手を見舞ったり、誠実に謝罪したりする責任です。これをおろそかにすると示談交渉が進まないケースがありますので、注意が必要です。


自転車事故で人生を棒に振らないように


民事上の損害賠償事例については報道で何度も取り上げられていますので、ご存知の方も多いと思います。最も有名なのは2008年に起きた、当時小学5年生の少年が62歳の女性をはねた事故で、2013年に9,521万円の損害賠償請求判決が出ましたが、小学生には弁済能力がないとして母親に支払い命令が下りました。


この母親は自己破産宣告をしましたが、このように普段身近な存在である自転車でも、ひとたび事故を起こせば一家離散の憂き目に遭うことがあります。


この教訓が活かされていれば自転車が加害者になる事故はもっと減ってもおかしくないのですが、2017年の暮れにも片手にスマホを持ち、もう片方の手に飲みものを持って電動アシスト自転車を運転していた女子大生が、歩行者をはねて死亡させるという事故が起きてしまいました。


普通に考えれば、まともにブレーキレバーを引くことのできない状態で運転をすることの危険性は認識できたはずです。


気軽に乗ることができる自転車ですが、ルールを守り安全運転を心がけて、事故の加害者になって人生を棒に振らないよう十分に注意したいですね。


自転車ツーキニスト 内海潤

筆者の写真

交通ルールをしっかり守って、安全で楽しい自転車ライフを。

自転車はエコで健康的な乗り物です。手軽な反面、そのルールがあまり知られていないという事実もあります。正しい交通ルールを知って、安全な健康的な自転車ライフを送りましょう。

【URL】 TOKYOツーキニスト http://tokyo-tookinist.com/
【経歴】 NPO法人 自転車活用推進研究会 理事、 練馬区自転車駐車対策協議会 委員
【メディア】 TBS「はなまるマーケット」、フジテレビ「スーパーニュース」、 テレビ朝日「ワイド!スクランブル」などテレビ出演多数。

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