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生涯独身に必要な老後資金とは?

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最近、生涯独身の人が増えてきているとニュースなどで知りました。もし、生涯独身で生活をする場合、老後の資金繰りはどのように考えておけばいいのでしょうか?独身の老後準備について教えてください。

公的・私的に関わらず年金や保険で備えておきましょう。

最近、生涯未婚率が男性では20%に達し、年々その率はあがっていることから独身で老後を迎える方が今後も増加することが予想されます。日本の年金制度は、会社員の夫と専業主婦がモデルになっているとも言われ、独身者は年金に加えて何かしらの資金を用意する必要があります。


■老後に支給されるお金

一般的に、老後は自営業者であった方には、老齢基礎年金が、会社員であった方には、老齢基礎年金と老齢厚生年金が支給されます。夫婦の場合と異なり、加給年金や配偶者特別加算はありません。


■独身で老後を過ごすための平均的な資金

老後に夫婦2人で最低限必要と思われる日常生活費は年収500万円であった場合、月額22万円前後となっています※。独身の場合は、この8割くらいを想定してよいかと思います(18万円で計算します)。


※出典:生命保険文化センター「平成25年度生活保障に関する調査」 (最終確認:2015年3月10日)

http://www.jili.or.jp/research/report/chousa10th.html


そして、男性の場合、年金支給開始(65歳)から平均寿命(79.9歳)まで生きた場合には、18万円(老後の生活費)×12か月×(79.9歳-65歳)=3,218万円、女性の場合は、18万円(老後の生活費)×12か月×(86.4歳-65歳)=4,622万円が一般的な必要額と考えてよいと思います。


■想定されるライフスタイルの変化を考えましょう

独身の場合には子供がいないため、兄弟姉妹以外に身寄りがいません。そのため、住居の問題、病気の問題、介護の問題、障害や、亡くなった際に一人で対処できるだけの資金が必要となります。


まず住居の問題ですが、賃貸の場合には家賃負担が非常に重く、生活費の大部分を占めることとなります。また、高齢になってからの引っ越しは管理会社が難色を示すこともありますので、早い段階に物件を購入することも一つです。最近ではリノベーション物件も増えていますので、中古の1LDKを購入しリノベーションすると予算も抑えられます。


また、持ち家の場合であっても、バリアフリー等にリフォームをしなければならない場合には、別の費用も発生しますのでその資金を考慮しておきましょう。老人ホームへの入居も検討できます。


次に病気や介護の問題があります。生涯ずっと健康で過ごしていければよいのですが、介護が必要となった場合には、家族の助けを全く受けることができませんので、訪問介護や短期入所施設を利用することになります。特に寝たきりになった場合の費用は相当な額となります。また、最近では老老介護と呼ばれるように、高齢者が高齢の両親を介護するという問題もあります。


そして、独身の場合には、ご自身が亡くなった後のことも早い段階で準備しておかなければなりません。終活ノートが流行っていますが、孤独死にならないために普段からご近所とのコミュニケーションを密に取り、死亡した際に連絡してもらいたい方のリストや葬儀や墓の資金を用意しておきましょう。


社会保険労務士 田治米 洋平

筆者の写真

給与や年金の疑問をわかりやすく解説します。

社会保険労務士の立場からお金に関するお話をお届けしています。 給与や年金は多くの人にとって身近な問題です。 最近何かと話題のこれらの情報を、私、田治米洋平がナビゲートします。

【URL】 http://www.sr-tajime.com/
【経歴】 社会保険労務士。同志社大学卒業後、IT企業にて人事管理部門にて勤務。 2006年、独立。2014年青山学院大学大学院法学研究科修了。
【監修】 「起業に関するお金Q&A」(日経産業新聞)、IT現場の労務問題(「労務事情」産労総研)、「資金調達マニュアル」(経産省DG)、「労務トラブル相談」連載(マイナビ)他

※上記に関するご質問、お問合せは、原則受付けておりませんのであらかじめご了承ください。