入院した時に必要となる費用とは?
先日友人が盲腸にかかり、手術と入院でかなり費用がかかったそうです。仮に病気になって病院に入院することになった場合、どのような費用がどの程度発生するのか教えてください。
入院時の費用は、保険適用分と適用外の自己負担分に分けられます。
■入院時にかかるおもな費用とは?
病気やケガで入院する場合にかかる費用として、次の4つが挙げられます。
[1]入院時の治療費や検査、薬代など
公的医療保険が適用になり、自己負担はかかった医療費等の1~3割です(小学校入学前の未就学児は2割、小学生~69歳まで3割、70歳以上は年齢と所得によって異なる。多くの自治体では、小学生(または中学生)以下の子どもについて、一部減額もしくは無料となる補助制度がある)。
[2]入院時の食事代の一部
「入院時食事療養費」として、1食につき260円(所得区分が一般の場合。2016年度から360円、2018年度から460円に引上げ)がかかります。
[3]全額自己負担で受ける医療サービスなど
厚生労働省で指定された「先進医療」の技術料や差額ベッド代が発生する個室等を利用した場合、全額自己負担となります。1日当たりの差額ベッド代にかかる平均費用は、1人部屋では7,583円ですが、2~4人部屋では2,000~3,000円程度です(*厚生労働省「主な選定療養にかかる報告状況(第282回中央社会保険医療協議会総会資料」)。
[4]入院時の雑費など
パジャマやガウン、下着、日用品、お見舞いにくる家族の交通費や宿泊費、家事や育児・介護を担当する家族の入院中の外食費、ベビーシッター代、ヘルパー費用など。患者さんの状況や家族構成等によってさまざまですが、すべて自己負担です。
■おもな病気ごとの入院費用
次の図表は、おもな病気やケガで入院した場合にかかった費用です。
なお、1日あたりの入院費用は、先ほど紹介した①②の費用が含まれていますが、③④については、別途これに上乗せする必要があります。
*脳血管疾患…傷病中分類の「くも膜下出血」「脳内出血」「脳梗塞」「脳動脈硬化(症)」「その他の脳血管疾患」の合計
1日あたりの入院費用 出典:厚生労働省「平成25年 社会医療診療行為別調査」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/sinryo/tyosa13/
退院患者平均在院日数 出典:厚生労働省「平成23年 患者調査」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/11/
■医療費が高額になった場合の「高額療養費制度」とは?
医療費の自己負担が高額なときに利用できるのが「高額療養費制度」です。
この制度は、窓口で支払う負担額のうち、一定の「自己負担限度額」以外を公的医療保険がカバーしてくれるというもの。
自己負担限度額は、治療を受けた患者さん本人の年齢と所得に応じて金額が決まっています。たとえば、70歳未満で、所得が約600万円の人が、病気やケガで1ヵ月の医療費が100万円かかった場合、3割負担の金額は30万円です。しかし、この制度を使えば、医療費の自己負担限度額は8万7,430円となり、30万円との差額21万2,570円が高額療養費として戻ってきます。
なお、医療費が高額になることがわかっている場合は、事前に「限度額適用認定証」を提示すれば、窓口での支払いが自己負担限度額までになります(70歳未満の場合)。
ファイナンシャルプランナー 黒田 尚子
病院・病気にかかわるお金の疑問を分かりやすく解説します。
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【URL】 | http://www.naoko-kuroda.com/ |
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【経歴】 | 大学卒業後、SEとしてシステム開発に携わる。在職中に、自己啓発の目的でFP資格を取得し独立系FPとして転身を図る。現在は、各種セミナー・講演の講師、各種メディアでの執筆、個人相談まで多岐にわたり活躍中。 |
【著書】 | 「50代からのお金のはなし~介護、相続、実家対策まるわかり」(プレジデント社)、「がんとお金の本」(ビーケイシー)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)など多数 |
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